残業代請求に関する労働紛争の予防・対策は労務問題専門の弁護士にお任せ!


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労働紛争の予防

残業代

【ア】典型的事例

飲食店Aは、午後15時から深夜5時までの営業時間で、従業員Bを店長として雇用していた。従業員店長Bは、平成21年8月末に退職した。すると間もなく、Bの代理人弁護士と名乗るCから、内容証明で、過去2年分の残業代(時間外手当、深夜手当含む)として600万円を請求するとの内容の文書が届いた。飲食店Aは、Bは管理職であったので一切の支払を拒絶しようと思っている。

【イ】残業代請求増加の背景

近時、電車広告やテレビCMなどでも明らかなように、いわゆる消費者金融等に対する過払い金返還請求のビジネスのバブルが発生しており、かかる返還請求を専業とする弁護士事務所や司法書士事務所の増加、発展にはめざましいものがありました。

しかしながら、三和ファイナンスや武富士の倒産などからも明らかなように、過払い金返還請求のバブルはすでに崩壊したといっても過言ではありません。

かかる返還請求ビジネスにより肥大化した弁護士事務所、司法書士事務所が、次なるビジネスとして狙っているとされるのが労働者側から残業代請求です。
残業代が狙われた理由として考えられるのは、
 ①残業代を支払っていない、もしくは残業代対策をしていない会社が多いこと
 ②残業代計算が容易であること(事務員でできる)
 ③回収も容易であること
が考えられます。

過払い金返還請求のバブル、残業代請求ビジネスへの変容

実際に当事務所でも、いわゆる債務整理系事務所が労働者側代理人として受任している案件を相当数経験しており、実際に同事務所が残業代請求のビジネスを掘り起こしていることは明らかです。

【ウ】労働者側と使用者側の地位の逆転現象

従来、労働契約関係においては、賃金を支払っているという立場上、使用者側の方が交渉上優位に立ち、労働者側は働かせてもらっている以上は、いわばある程度の不利益を甘受せざるをえないというような状態が散見されました。

しかしながら、近時においては、労働法制が完全に労働者側有利に作られているといっても過言ではない状況において、使用者側の無知につけこみ、不当な利益を得ようとする労働者が増加しているように感じています。いわば、労働者側と使用者側の地位が逆転したかのような状況が起こっており、むしろ使用者側の方がかわいそう、というケースが後を絶たないのです。たとえば、会社側としては残業代請求に対する一定の対策をしているつもりでも、それが不十分なものであったがために、その対策の不備を突いて、複数人で団結して過去2年分の残業代の請求を行うというような事例です。

【エ】就業規則等による対策の重要性

残業代請求は一定の対策をしておけば全部または相当部分の請求を未然に防ぐことができます。しかし、何の対策もしていないまま、労働者側から請求されたり、労基署に駆け込まれてしまえば、請求額のかなりの割合の金額を払わなければならない可能性が高まります。近時濫発する残業代請求から会社を守るには就業規則の改定等による未然予防が不可欠なのです。

【オ】残業代についてのよくある誤った知識

(ア)「管理職だから残業代は出ない」(管理監督者)との主張について

労働基準法では、以下の通り、いわゆる管理監督者とされる労働者に対しては残業代を支払わなくてよい(正確には労働時間等に関する労基法の規定が適用されないこととなっている)とされています。

(労働時間等に関する規定の適用除外)
第四十一条  この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
二  事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

この管理監督者の概念について、概ね裁判例は「経営方針の決定に参画し或いは労務管理上の指揮権限を有する等、その実態からみて経営者と一体的な立場にあり、出勤退勤について厳格な規制を受けず、自己の勤務時間について自由裁量権を有する者」と定義しています。
つまり、
 ア.役職名などにより形式的に判断するのではなく、実質的に経営者と一体的な立場にある者といえるか
 イ.出退勤についての自由裁量権があるといえるか
 ウ.このような地位にふさわしい賃金面での処遇が基本給や手当、賞与等の面でなされているかどうか
という3つの大きな判断要素を示しています。

この要素のうち、特にイの自由裁量とウの賃金面での処遇の点で、ほとんどのいわゆる管理職が管理監督者として認められることはないでしょう。実際、管理監督者性が争われたほとんどの裁判例が、管理監督者性を認めていません。マクドナルドの店長に管理監督者性を認めなかった事例は多くの方がご存じの事例と存じます。
よって、「管理職だから残業代を支払わなくていい」という形でしか残業代対策をしていない会社は、残業代請求のリスクが非常に高いと言わざるをえず、残業代抑制のための賃金体系の再構築の早期検討が必要といえるでしょう。
上記の典型的事例に挙げた事例でも、「管理職なので一切の支払いを拒絶しようとしている」ということですが、実際はそのような主張が認められず一定額の残業代の支払いを余儀なくさせられてしまうことがほとんどです。

(イ)基本給や手当には残業代が含まれているとの主張

基本給に残業代を含まれているとの主張や、●●手当の中に固定残業代の性質を持たせるのであれば、就業規則、賃金規定などで、何時間分の残業手当に相当する手当なのかを明示するなど、割増賃金相当部分とそれ以外の賃金部分とが明確に区別できるようにしておく必要があります。
また、実際の残業時間が上記のみなし残業時間の部分を超えた場合は、その差額の残業代を支払わなければなりません。
もっとも、これらのみなし制度導入は、まさに「言うは易し」で、労働者の労働条件の不利益変更の問題がつきまとうため、間違った手法で導入すると、せっかくの残業代抑制のための措置が逆効果になりかねません。導入時には労務専門の弁護士に相談することをお勧め致します。

みなし残業手当の創設

※1 みなし手当の財源は基本給でなくてもよい。

※2 名称は問わない。

※3 潜在的残業手当は、法的には支払義務が発生してしまっている状態であるため、残業代請求をされてしまった場合にこの部分が会社側のリスクとなる。これをいかに圧縮するかがポイント。

※4 制度導入の際には、労働条件の不利益変更の問題が発生することから、専門家と相談のうえ慎重に導入するべき。

(ウ)年俸制だから残業代は含まれているとの主張

プロスポーツ選手の年俸制(業務委託)による誤解がよくされているのですが、年俸制は残業代請求を否定するための抗弁にはならないので注意が必要です。よって、単純に年俸制を導入しているだけの労働者については、1日8時間以上、1週間40時間以上の労働が存在する場合には、残業代請求がなされるリスクがあることになります。

(エ)当初の雇用契約の際に、残業代は無しという合意をしていたとの主張

よく中小企業において存在する合意ですが、残念ながら残業代不支給の合意は、労働者が一時は同意をしていたとしても違法な合意とされ、労基法の強行法規性に反する無効な合意となります。よって、残業の実態が存在し、労働者から請求された場合、残業代を払わなければならなくなるリスクがあります。

(オ)残業禁止命令を出していたのに勝手に残業をしていたのだから、残業代請求は認められないとの主張

残業禁止命令には一定の残業発生の抑止効果はありますが、単純に禁止命令を出していたとしても、残務が発生するような業務量であり、残務が発生した場合の処理についての体制が整っていない場合(たとえば、残業が発生する場合に他の上長に引き継ぐような体制等)は、結局、残業を禁止していたとは認められず、残業時間とみとめられてしまう可能性が高いので、これだけでは十分な対策とはいえません。

(カ)その他

上記に挙げたように、残業代対策を行うためには、前提として正確な知識が必要となりますし、ノウハウも必要となります。未然に紛争を予防し、安定的経営を志す経営者様におかれましては、是非、早い段階でのご相談をお薦め致します。
その他、残業時間自体を抑制する対策として、フレックスタイム制を導入したり、裁量労働を採用したりすることもあります。会社の規模、業務内容、風土によって適切な対策は異なってきます。残業代対策にご興味のある企業様は、弁護士法人レイズ・コンサルティング法律事務所(新宿区四谷)まで、遠慮なくご相談ください。

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